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サンダニエーレ

サンダニエーレ・デル・フリウーリ

サンダニエーレ・デル・フリウーリ(San Daniele del Friuli)は、ちょうどフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州のほぼ中心に位置し、その地域の平野部を囲むようにして、標高約250mの少し高さのある丘陵地となっています。
この地を有名にしているのは、言うまでもなく、DOPに認定されているプロシュット・クルード(生ハム)です。同地の地形や気候はこの地ならではのプロシュットを製造するのに欠かせない要素。これが世界唯一の貴重なる生産物を作り出します。

そして、この地を流れるタリアメント川。清澄な水の流れは、淡水魚のマスの養殖場として知られています。人の手のかかった、”アルティジャナーレ”の養殖場で採れるマスは「サンダニエーレのレジーナ(女王)」とも呼ばれるほどです。

サンダニエーレの近隣には、ファガーニャ(Fagana)、ジェモーナ・デル・フリウーリ(Gemona del Friuli)、ヴェンツォーネ(Venzone)などの小さな町が隣接しています。この周辺地区では、小さなチーズ生産者も点在し、山から運ばれてくる新鮮な生乳を使った良質なチーズも有名です。

訪れるべき場所
サンダニエーレ・デル・フリウーリ (San Daniele del Friuli)

グアルネリアーナ図書館(ビブリオテカ・グアルネリアーナ/Biblioteca Guarneriana)
同州で最も古い、歴史ある図書館です。これは、1466年に、古典学者である、同州出身のグアルネルロ・ダルテーニャ(Guarnerlo d’Artegna)により創設されました。彼のコレクションである古文書など、約12000の蔵書があります。

ジェモーナ・デル・フリウーリ (Gemona del Friuli)

ピエーヴェ及びドゥオーモ聖遺物博物館(ムゼーオ・デッラ・ピエーヴェ・エ・テゾーロ・デル・ドゥオーモ/Museo della pieve e tesolo del Duomo)
1379年3月3日の記録として残る、世界で最も古い洗礼書物があることとして知られています。

ヴェンツォーネ (Venzone)

「イタリアの最も美しい村=イ・ボルギ・ピューベッリ・ディターリア(I Borghi più belli d’Italia)」として2017年に登録されている、小さいながらも美しい町です。
見所としては、サンタンドレア・アポストロが献じられたドゥオーモです。1308年の歴史ある建物でしたが、1976年の大地震で一度崩壊してしまいました。現在のものは、崩壊した瓦礫を拾い集めて元のように復元され、災害前と同様の姿となっています。
また、17世紀頃のものとされる人間のミイラが現在のドゥオーモの近くに保管されています。これは、人の手による人為的ミイラではなく、自然の力が施した、自然のミイラといわれています。貴重な研究素材として保存されていますが、その要因としては、気温、湿度、土壌中のカルシウムや硫酸などの成分がそれに適合したものであったものとされています。このミイラ化した民族は幾世紀にも遡りこの地に生息していた人々とされていますが、1807年にこの地を訪れたナポレオンも、このミイラを見学に訪れたという記録が残っています。

土地の食文化

主な土地の生産物
サンダニエーレ産プロシュット(プロシュットクルード・ア・サンダニエーレ/Prosciutto crudo a San Daniele)

州内のみならず、世界的にも知られるようになった、この地の生ハムです。丘陵地帯の自然環境を利用した、高品質の生ハムを生産しています。原材料は、豚のモモ肉と塩のみ。四季それぞれの気候の変化を利用してできあがる製品は、13ヶ月以上からが出荷可能なもの。
サンダニエーレには、生ハムを製造する工房が点在しており、この地域を通ると多くの生産工場が目につきます。レストランを併設している製造者もあり、そこでは、熟成期間の違う生ハムの食べ比べなどもできます。

サンダニーレ産マス(トロータ・ディ・サンダニエーレ/Trota di San Daniele )

「サンダニエーレのレジーナ(女王)」と称されるほど、価値の高いマスとして知られています。サンダニエーレの澄んだ空気、タリアメント川のきれいな水とで自然の恵みを利用した養殖が行われています。
燻製は、土地の木々と野草、ハーブを使い、自然の力を最大限に利用して品質のよい製品を作り上げています。燻製のほか、オイル漬け、キャビア(卵)、サラミなどの加工品の生産にも力を入れています。

ファガーニャ産チーズ(フォルマッジョ・ディ・ファガーニャ/Formaggi di Fagagna)

標高約180mに位置する小さな町ですが、美味しいチーズの生産地として、州内でも定評があります。この地域の生乳を使い、生乳のままチーズ製造に入ります。熟成期間により、その味わいも変わりますが、出回るものとしては、熟成期間2ヶ月の「フレスコ」、5-6ヶ月の「メッザーノ」、12ヶ月の「ヴェッキオ」24ヶ月の「リセルヴァ」と呼ばれるものとに区別されます。それぞれの熟成期間により、味わいも違い、用途も変わります。

土地の料理

サンダニエーレで養殖されるマスを使った料理各種。そして、野草をたっぷり使ったフリッタータ(Frittata/オムレツ)やフリコ(Frico)。フリコには、ファガーニャ産のチーズが使われます。カゼイフィーチョ(チーズの製造現場)に行くと、その日に作ったチーズの成型中に余る切れ端が袋に入れて売られており、近所の人たちはそれをフリコ用に買い求めます。塩水に漬ける前の希少なもので、大抵はその日中に売り切れてしまうとか。
ファガーニャ(Fagagna)では、家畜の飼育も盛んで、牛、豚、ガチョウ、ウサギ、野ウサギ、ロバなどを使った料理などが親しまれています。こういった野禽類は、ストラコット(Stracotto)といって、長時間煮込み料理にしたり、グーラッシュ(Gulasch)などに調理します。