toggle
2019-04-30

【H.I.S. 】フリウリのお菓子「グバーナ」と「ストゥルゥッキ」

H.I.S. のHP「HIS厳選 特集&厳選コース」の
「やっぱりイタリア好き」欄に不定期で投稿しています。
世界遺産の古代都市「チヴィダーレ・デル・フリウーリ」(2019/04/02)

「グバーナ (Gubana)」と「ストゥルッキ (Strucchi)」は、フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州、そのうちでも特にフリウリ地方の郷土菓子として知られている。発酵生地にさまざまな具材を入れて焼き上げた、発酵パン菓子のようなものが前者の「グバーナ」、そして同じ材料を使うが一口サイズに型取って油で揚げたものが「ストゥルッキ」。実は、それほど全国的にはメジャー菓子といえるものではないのだが、地元人には昔からハレの日の菓子として、古くから非常に親しまれている郷土菓子だ。

グバーナの発祥の地「ヴァッリ・デル・ナティゾーネ」という集落

この菓子の発祥は、スロヴェニアとの国境からほど近い、ウーディネ県にある小さな小さな集落、ヴァッリ・デル・ナティゾーネ(Valli del Natisone)という村だ。ナティゾーネ川の峡谷という意味をもつこの地にて、この菓子の歴史として最初に書物に残されたのが、1400年初頭。この村に近いチヴィダーレ・デル・フリウーリをローマ教皇が訪れた際に献上された、とされている。
この菓子の名の由来は、スロヴェニア語で「折る、たたむ」という意味をもつ「グーバ(guba)」という言葉から。現在でも、イタリアのクリスマスであるナターレや復活祭であるパスクア、結婚式等の祝いごとの席などには、欠かせないものとして人々に親しまれている。お祝い返しに配られるコンフェッティは、この地では「ストゥルッキ」がそれに代わる。

伝統菓子の作り方を伝授してもらおう

グバーナは、粉、卵、バター、砂糖などを合わせ発酵させた生地と、干しブドウ、松の実、クルミなどを合わせた中身により構成されている。一度発酵させた生地を長い長方形にのばし、その上に具材を均等に広げる。手前の端から長くて太めのひも状になるように、手前から巻いていく。それをさらに渦巻き状に巻き、型に入れてさらに発酵。それをオーブンで焼き上げたものだ。焼きたてもおいしいが、しばらくたって生地がしっとりと落ち着いてくる頃がまた美味。具材には干しブドウはグラッパで浸してあったりもするので日持ちがよく、6ヶ月はおいしく食べられる、と言われる。
そして、もう一方の「ストゥルッキ」は、同じように生地をのばし、一口ずつにまとめた具材をのせて一口大に切り分け、端をしっかりと閉じて油で揚げる。中身の甘酸っぱい具材としっとりと焼きあがった生地、もしくはさっくりと揚がった生地とあいまったところが、なんともおいしい。

地区内には名物店が何軒も!

地区内にはグバーナを提供する店が小さな地区にも関わらず点在するが、特にグバーナが有名で専門とする店は「グバナフィーチョ」と呼ばれる。地域の人々も各人それぞれにお気に入りのグバナフィーチョがある。各店舗も年末に近い時期は特に繁忙期となるが、大抵の場合、年間を通じてつくられるグバーナは、各店の焼き上がりの曜日を購入側も周知しており、そのタイミングを見計らって買い求めにやってくる。各店舗の繁忙期は、クリスマス前の11月から年明けまで。その後、カーニヴァル、パスクア……と続くイベント時期も、これらの菓子は頻繁に登場する。
私個人も、好みの店舗が数店ある。何店舗かは辿り着くのには少々困難かもしれないが……ご参考までに。おすすめです。

関連記事